DVD販売不振で脚光を浴びるオンデマンド


 米エンターテイメント業界でDVD販売不振が大きな問題としてクローズアップされている。米調査会社「SNLケーガン」によれば、今年4-6月期のDVD、BD(ブルーレイ・ディスク)の売上高は前年同期比14%減少となる22億6000万㌦(約1921億円)。各映画会社にとって重要な副収入源であるDVD売上げは、2007年の160億㌦(約1兆3600億円)をピークに下降線をたどったまま。09年の売上高は130億㌦(約1兆1050億円)までに落ち込んだ(米調査会社:ナッシュ・インフォメーション・サービス)。 


米調査会社「BTIGリサーチ」のアナリスト、リチャード・グリーンフィールド氏は、映画会社によるオンデマンド・サービスへのコンテンツ提供のタイミングに注目。「2006年頃には映画のDVD販売からオン・デマンド販売にはすくなくとも30日から45日の間隔があったが、今では平均5日間にまで縮まっている。DVD販売がいかに不振に陥っているかを示す証拠だ」と強調している。


各メディア企業にとって深刻な問題になっており、ウォールストリート・ジャーナル紙は、ABCネットワークなどを傘下に置くウォルト・ディズニーの最高経営責任者(CEO)、ロバート・アイガー氏の、「DVD市場は、引き続き大きな課題を抱えている」との発言を引用しながら、最近発表されたばかりの4-6月期の決算に少なからぬ悪影響を与えている、と指摘している。


DVD販売不振の背景には、オンラインDVDレンタル会社大手「Netflix(ネットフリックス)」などの躍進があるようだ。「DVDの店頭販売が、デジタル配信におされ気味だ」との声も聞かれる。そんな状況を踏まえ、米メディア企業の間には映画作品の二次利用をDVDからオンデマンド・サービスへシフトする動きも出ている。米メディア企業大手バイアコムの最高執行責任者(COO)、トム・ドゥーリー氏は、グループ傘下の映画オンデマンド・チャンネル「Epix」が最近、ネットフリックスとの間に総額10億㌦(約850億円)にのぼるライセンス供与契約を締結したことを挙げ、「映画会社に新たな収入源を提供する動きだ。DVD販売に代わるビジネス機会になるだろう」と、述べている。