DVR利用者もCM視聴


米国で急速に人気を集めているデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)の特徴は、自分の好きな番組を好きな時間に視聴できる「タイムシフト視聴」を可能にすることのほか、CMの飛ばし視聴が容易に出来ること。特にCMスキップ機能に関しては、広告主や放送事業者が大きな危機感を抱いていて、「DVRは30秒CMの敵」というのが通説だ。そんな通説を覆しそうな調査結果がニールセン社から発表された。

15日に発表された同調査によると、DVR所有者の三分の二が「番組中のCMはスキップしない」と答えたことが明らかになった。米広告大手「マグナ・グローバル・メディア・リサーチ」のアナリスト、スティーブ・スタバーグ氏は、「CMを視聴するDVR利用者の数は我々の想像をはるかに超えているようだ」と感想をもらしている。ただ、利用者の多くが番組放送開始後の中ほどでDVRを作動させ「追っかけ視聴」をしている模様。番組後半はCMをリアルタイムで見ざるを得ない人が多いのも実情のようだ。

同調査ではまた、番組収録後27時間以内に再生視聴する人の中で、広告主が重要視する18~49歳層のCM視聴率がこれまで推定されていたものよりも16%も多いことが判明したという。さらに、DVR利用者の中で「誰かと一緒にテレビを見る」と答えた人が54%と、DVR非保有者の50%を上回るという結果も出ており、ネットワーク関係者らにとって吉報。DVR世帯に抱いていたマイナスイメージを見直す機運が起こる可能性も出てきた。

ニューヨーク・タイムズ紙は、16日付の記事の中で、「DVR利用者の中に、CM飛ばし視聴常習をむしろ誇らしげに強調するユーザーが多いが、実際のところは早送り機能を利用しない人も少なくないことが判明した。実態は半々といったところか」と分析している。