DVR視聴者がネットワーク救世主に


米国では夏の期間中、子供たちの長い休みを利用してバカンスを楽しむ家族が不在がちで、テレビ視聴が減退するのが業界の通例だ。今年は、ネットワークテレビの視聴者数が昨年夏に比べ7%も下降し、例年よりさらに不振ぶりが目立っている。

そんな中、ニールセン社の調べによると、今夏はHDD内蔵型のレコーダー、いわゆるDVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)でいったん収録した番組を視聴した人の数が急増している模様だ。番組によっては視聴者数が10%も上乗せされるものがあるという。

Foxネットワークのリアリティー番組「So You Think You Can Dance」やCBSの同カテゴリー番組「ビッグ・ブラザー8」などはDVR視聴者を換算すると視聴者数が100万人以上も増えるという。7月9日~15日の週を例にとれば、週3日(火、木、日)放送されている「ビッグ・ブラザー」の平均視聴者数(18~49歳層)は566万人と昨年同時期に獲得した視聴者数688万人と比べ18%減少したが、DVR視聴者を加えると昨年並みの視聴者数になる。

また、ABCネットワークが今夏スタートさせたドラマ「トラベラー」は、ネットワークが期待を込めた大型ドラマだが、平均視聴者数(18~49歳層)が333万人とふるわず、番組関係者をがっかりさせていた。しかし、番組放送後7日以内に視聴したDVR視聴者を換算すると、400万人になり、「それほど悲観する結果ではない」(ABC広報)と胸をなでおろしている模様だ。

こんな状況を受けて、「今夏の視聴率の低迷はDVR利用者数が急増したことが大きな要因になっているのでは」(メディア・ライフ誌)とする見方も出ている。