ESPNがローカル市場に着眼


米メディア企業ウォルト・ディズニー傘下のスポーツ専門局ESPNがローカル・スポーツに着眼している。ESPNといえば、米国内ばかりか、世界200ヶ国にスポーツ・イベントやニュースを提供する有力専門局。長年にわたって培った知名度と存在感で、スポーツ・ファンの間に圧倒的な人気を誇っている。そのESPNのローカル市場進出機運にローカル局や地元新聞社などが戦々恐々としている。


ESPNの狙いはブロードバンドをプラットフォームにした専用ポータルで、コミュニティーを意識した、きめこまかなスポーツ情報を提供すること。同社では、今年4月中旬からシカゴ市場を選択し、商業実験を開始している。「ESPNシカゴ」と名づけられた同サービスでは、ESPNで人気のスポーツ・ニュース番組「ESPNスポーツ・センター」のシカゴ版が放送されているほか、ESPNラジオのシカゴ局へのリンクなどもはられていて、ポータル・スタイルになっている。地元の大リーグ球団「シカゴ・カブス」やNFLフットボール・チーム「シカゴ・ブルズ」などの情報も取り上げられている。

米インターネット調査会社コムスコアによれば、同サイトは6月に59万件以上のユニーク・ビジター数を獲得、地元有力紙シカゴ・トリビューンが設けているスポーツ専門サイト(45万5000件)に大きく水を開ける人気ぶりだ。


シカゴの結果に自信を深めたESPNは来年上半期を目標に、ニューヨーク、ロサンゼルス、ダラスの3地域でも同様のサービスを展開することを決定をした。ESPNデジタル・メディア部門で販売開発を担当するマーク・ホーリン副社長は、プレス発表分の中で、「シカゴでの成功に勇気付けられている。シカゴ以外でも商機が待ち受けていることを確信した」と語っている。ESPNは、将来的には情報や動画中継の対象を地元の高校スポーツなどにも広げたいとしている。