FCCがコムキャストによるNBCU買収を承認


米連邦通信委員会(FCC)は1月18 日、全米最大のケーブルテレビ(CATV)事業者、コムキャストから出されていた米メディア企業NBCユニバーサル(NBCU)の事実上の買収申請を承認すると発表した。FCCの最高決定機関は5人の委員で構成されるが、ジェナコウスキー委員長を含む4人の委員が賛成、メディア企業の統合には一貫して反対の立場をとっている委員1人が反対に回った。両社の合併が独占禁止法に抵触しないかを審査してきた米司法省も同日承認した。コムキャスト・NBCU両社の単純合算した09年度売上高は、合計約460億㌦(約3兆8000億円)(アドバタイジング・エイジ誌調べ)に達し、ウォルト・ディズニーやタイムワーナー、さらにはニューズ・コーポレーションを上回る世界最大の新メディア複合企業が誕生することになる。

コムキャストによるNBCUの事実上の買収は、NBCUの経営支配権を握ってきた世界最大の複合企業GE(ゼネラル・エレクトリック)とコムキャストが09年12月3日に合意し、10年1月28日に申請した。FCCなどによる審査は約1年かかったことになる。

NBCユニバーサルは、GEが80%、仏メディア・通信企業ビバンディが20%をそれぞれ出資する合弁会社だったが、GEがビバンディの持ち株を昨年暮れ58億㌦(約 5220億円)でいったん買い取っている。今回の承認を受けて、コムキャストに株式の51%を売却、GEは残りの49%を保有し、コムキャストと新合弁会社を設立することになる。GEとコムキャストは、NBCUの企業価値を300億㌦とすることで合意している。コムキャストは向こう3~7年以内に全株を取得し、単独のオーナー会社になると見られている。CATV会社によるメディア企業の買収は初めてのこと。

今回の合併劇には、メディア業界の寡占化や中小規模のコンテンツ・プロバイダーやマイノリティー・グループを排他する商業につながる、などとする大きな懸念が寄せられていた。これを受けて、FCCは承認にあたりコムキャストに対し、地域コミュニティー向けの情報番組の提供、子供や増大するヒスパニック(スペイン語を母国語とするマイノリティー・グループ)人口向けの番組の提供拡大、さらには低額所得者向けの廉価なブロードバンド・サービス提供など、様々な条件を付帯した。コムキャストは、全米最大のCATV事業者であると同時に最大のブロードバンド・サービス提供者だ。

また、FCCは現在急速な普及の兆しを見せているインターネット上の番組配信(オンライン・ビデオ)サービスの成長を援護したいとの立場から、コムキャストに対し、特定のオンライン・ビデオ・サービスに同社のコンテンツ(番組)提供を拒んではならないことや、公正なインターネット・サービスに対しては同社のブロードバンド網を基本的には無条件で解放することなどを、条件にした。