FCC委員がデジタル化に懸念


米連邦通信委員会(FCC)のマイケル・コップス委員がこのほど、2009年に予定されている地上波テレビの完全デジタル化に悲観的な見通しを示し、注目されている。業界誌ハリウッド・リポーターなどによると、同委員は全米放送事業者協会が4月16日からラスベガスで開催した放送・通信産業の総合コンベンション「NAB2007」に出席した際に、「デジタル化移行プロセスの現状を大変心配している」と発言した。2年後に迫った地上波デジタル化をスムーズに達成するための周知活動が欠落していることを指摘したもの。

同委員は会場に集まったメディア関係者らに対し、「アナログ波停止によってテレビが見られなくなる状況は絶対に避けなくてはならない」と強調。2009年2月17日に予定されているデジタル移行に向け、政府と民間が協力し、市民に対する“デジタル教育”を急がなければならないとアピールした。

米連邦議会はアナログテレビでもデジタル放送が視聴できるよう、15億㌦(約1,800億円)の予算を計上し、受信機の購買支援のため40㌦相当のクーポン券を支給する予定。ただ、コンバーターと呼ばれる受信機の実勢価格は60㌦以上になるとされており、差額の扱いについても混乱が起こることも予想されている。

米国では直接受信世帯が約2,000万件ある中、複数のテレビを所有する世帯がほとんどで、コンバーターを必要とするテレビ台数は7,000万を越えるとも言われている。しかし、実際にコンバーターが市販されるのは来年1月以降となる見通しで、準備期間があまりにも短すぎるとの声も出ている。