FCC委員長が「ネットの中立性」を支持


米国政府がインターネットのトラフィックを監視する動きが出てきた。米連邦通信委員会(FCC)のジュリウス・ジェナコウスキー委員長が、ワシントン市内の著名シンクタンク「ブルッキイング研究所」でこのほど行った講演で明らかにしたもの。インターネット・プラバイダーに対し、容量の大きさにともなわず、すべてのコンテンツを受け入れるよう促し、「インターネットの中立性」を監視する法案作成を議会に呼びかけた。


ジェナコウスキー委員長は、米ケーブルテレビ(CATV)事業者最大手「コムキャスト」が、大容量ファイル共用サービス「BitTorrent(ビットトレント)」による同社のインターネット網へのアクセスを故意に制御した疑いを例にとり、「プロバイダーのネットワーク管理の実態を透明化させる法律が必要だ」と強調した。


同委員長は、「インターネット・プロバイダーによる“適度な”ネットワーク管理を制御するものではない」としている。消費者団体から一斉に歓迎の声があがっている一方で、通信業界関係者からは「何が適度な管理なのか、具体的になっていない」などと不満の声が上がっている。
また、通信大手「ベライゾン・コミュニケーション」の規制関連業務担当副社長デイビット・ヤング氏はワシントン・ポスト紙に対し、「消費者あるいは企業の間で、何らかのコンテンツやサービスがインターネットへのアクセスを制御された、という事例はこれまでないのではないか。新たな法律の必要性は無いはずだ」とFCCの動きをけん制している。


プロバイダー側には、ユーチューブなど動画サービスや大容量ファイル共用サービスが、「インターネット・サービスにただ乗りしていて不公正だ」などと、相当な制御の必要性を訴える意見が多い。米連邦議会はFCCの提案を受けて、10月中旬以降、新たな法律が必要か否か検討することにしている。