FiOS普及率が飛躍的な前進

地方自治体からの認可問題などがネックになり、普及が思うようにはかどらない米国のIPテレビ・サービスに変化の兆しが見えてきた。米国のIPテレビ・サービス提供で他社を大きくリードする電話会社大手「ベライゾン」ではインフラ整備などに180億㌦(約1兆7,250億円)の大型投資をし、光ファイバー回線を利用したネットワーク「FiOS(ファイオス)」の普及に努めているが、ここに来て一日あたりの新規加入者が平均2,600軒と、「飛躍的な前進」(ウォールストリート・ジャーナル紙)を見せている。

米テキサス州ダラス市のある地域は、全世帯の25%がFiOSサービスに加入するほどで、米銀行大手「バンク・オブ・アメリカ」の調査部のアナリスト、デイビッド・バーデン氏は2008年までにFiOSサービスの加入者が200万軒に増え、テレビ番組再送信事業で業界第9位に成長すると見ている。ベライゾンは今年9月末の段階でFiOS加入世帯数が70万軒を突破したと発表している。

これまでテレビ再送信市場を独占してきたケーブルテレビ(CATV)事業者も、電話会社によるIPテレビ・サービスの台頭を無視できなくなって来ている。全米最大のCATV事業者「コムキャスト」の最高執行責任者(COO)スティーブ・バーク氏は、ウォールストリート・ジャーナル紙のインタビューに答え、「FiOSは本物だ。我々から顧客を奪い始めている」と、IPテレビがCATVにとって脅威になり始めていることを認めている。

ベライゾンFiOSは光ファイバーが持つ大容量通信の優位性を生かし、テレビ番組配信のほか、ブロードバンド通信および電話サービスの一括サービス(トリプル・プレイ)も提供し始めており、トリプル・プレイをドル箱事業と位置づけているCATV業界は戦々恐々といったところ。