HBOがインターネットで番組配信開始


 米ケーブルテレビ(CATV)や衛星放送で配信されている有料チャンネル最大手 「HBO」が2月18日、通信大手ベライゾン社と提携し、番組や映画などのオンライン配信を始めた。「HBO GO」と名づけられた新サービスを利用すれば、インターネットに接続されたパソコン上で、HBOが放送した映画やドラマ番組など600時間分がオンデマン ド方式で無料で視聴できる。ただし、アクセスはベライゾンが提供するIP(インターネット・プロトコール)テレビ「FiOS(ファイオス)」とHBOの加 入者に限られ、間接的な有料サイトだ。米CATV大手コムキャストが昨年暮れにスタートさせた「Fancast Xfinity TV」に似通ったサービス(1月4日号既報)で、初めてのケースではないが、”天下のHBO“が始めたことで業界の関心が集まっている。


米国ではインターネット上の動画視聴人気が急上昇中。ネットワークテレビで放送されているプライムタイム番組のほとんどが無料で提供されていることも寄与 しており、09年12月にインターネット上でテレビ番組などの動画を視聴した人の数は、1億3740万人にも上った(ニールセン社調べ)。若者層を中心 に、「CATVサービスなどに加入しなくともテレビは見れる」との捕らえ方が広まっている。


新サービスは、このような状況を背景に、送信サービスから離反するユーザーを食い止めたいCATV事業者と、CATVからの送信料が重要な収入源となっているコンテンツ・プロバイダーの思惑が一致したかたちでスタートした。


HBOの共同社長、エリック・ケスラー氏は、新サービスの展開にあたって、「目的は(加入者数の)保持」と明言。CATVなどの加入者に、「どこからでも 手軽に番組が視聴できるサービス(TV Everywhere)」を提供することで、根幹サービス(番組送信)からの離反を防ぎたいとの考えを示唆している。HBO GOで提供されるコンテンツ は毎週、タイトルの25%が改新されるという。