IPテレビが拡大の兆し

米国でインターネットを使ったテレビ番組再送信サービス「IPテレビ」が拡大する兆しだ。米国では電話会社大手AT&Tとベライゾンが同サービスを立ち上げているが、米調査会社「eMarketer(イーマーケター)」によると、現在330万軒といわれるIPテレビ世帯が2012年までに1,270万世帯にまで急増する勢いだ。米国の番組再送信サービスは、ケーブルテレビ(CATV)事業者の独壇場だったが、衛星放送事業者が多チャンネルとすぐれた顧客サービスなどを武器に躍進したこともあり、現在、CATVのシェアは全体の約6割に後退している。電話会社によるIPテレビサービスがさらに拡大すれば、CATVにとって死活問題にもなりかねない状況だ。

一方、世界市場におけるIPテレビも広がりを見せている。ブロードバンド(高速大容量)通信などの調査にあたるポイント・トピック社によれば、今年3月のIPテレビ加入世帯数は昨年3月から倍増、現在約1,550万軒(このうち840万軒が欧州)が加入しているという。まだテレビ世帯全体に占める割合は微々たるものだが、2012年までに3,840万世帯(Informa社)、あるいは1億軒(iSuppli社)に拡大するという見方も出ている。

こんな中、全米最大のIPテレビ事業者になっているベライゾンに16日、吉報が届いた。ニューヨーク州当局がベライゾンに対し全米最大のテレビ市場ニューヨーク市を対象とした番組配信サービス展開に認可を下ろしたからだ。6年以内に市内すべての世帯にIPテレビ網を網羅することが条件となっている。ただ、IPテレビサービス展開に必須の光ファイバーの施設工事にはアパートなどそれぞれのビルのオーナーから許可を受ける必要があり、これがハードルになる可能性も指摘されている。