IPテレビ促進ルールに自治体が抵抗


米連邦通信委員会(FCC)はこのほど、もともとはケーブルテレビ事業者(CATV)を対象にしていたローカル・フランチャイズ権取得方法を大幅に改定した。テレビ番組再送信などの映像配信サービス(IPテレビ)参入をめざす電話会社にとって、ローカル・フランチャイズ制が大きな足かせになっているとの批判に応えたものだ。

米国ではCATVがサービスを展開する際にその地域を管轄する市や郡など地方自治体との間にフランチャイズ契約(独占的放送事業権)を結ばなければならない。しかし、認可と引き換えに、地元の街頭設置や携帯電話用中継タワーの建設、さらには市職員への携帯電話提供など、CATVのサービスとは無関係な補償を担保に求められるのが慣例。申請してから認可が下りるまでの期間も1年以上かかるケースが多く、FCCが今回、新規ビジネス展開の際の障壁になっていると判断した。

新ルールでは、最低限の認可料を認める代わりに、地方自治体が提示してきた補償要求を禁止。申請の処理期間も90日以内に決定をするよう定められた。電話会社によるIPテレビが普及すれば、CATVが独占状態の映像配信サービスに健全な競争が生まれることや、FCCが促進するブロードバンドの普及が早まるとの思惑が背景にある模様だ。

しかし、FCCの決定に地方自治体側は、「権限を越えた違法行為」と一斉に反発。FCCを相手取って訴訟を起こす構えで、新ルールの先行きは不透明だ。FCC側は、全国共通のフランチャイズ・ルールを定める権限はないが、自治体レベルならば関与することが出来るとしている。