NBCU売却話は当面凍結か

北京五輪放送で高視聴率を獲得したNBCネットワークやケーブル局網を傘下におく米メディア企業大手NBCユニバーサル(NBCU)をめぐる売却話が何度も浮上しては消えている。NBCUの親会社はゼネラル・エレクトリック(GE)。GEが電気機器、航空・宇宙、軍事、金融などの事業を営む世界最大級のコングロマリット(複合企業)であるため、異種企業的存在に映るNBCUが、グループ企業のメンバーとしてそぐわないほか、同社の売上高が全体の9%に満たない(2007年)ことなども、売却話が取りざたされる要因になっているという。「GEのジェフ・インメルト会長は、NBCUについてはピークを過ぎた既存メディア事業の代表格と考え、お荷物にすら感じている」などとする噂話も頻繁に聞こえてくる。

しかし、米経済誌「ビジネス・ウィーク」によれば、当面は売却の動きは無い模様だ。同誌が7月に行ったインタビューで、インメルト会長がGEの売却は少なくとも向こう2年間は無いと明言したほか、同氏が、NBCUはキャッシュ・フローに優れた企業で、グループにとって有益だとの考えを示したことなどを挙げ、売却は先送りされたと予測している。

実際は、景気減速傾向が顕著になっている米ビジネス界にあって、NBCUの買い手を見つけるのは事実上不可能に近いという見解がGEサイドで働いている模様だ。グループ内における貢献度が小さいとはいえ、NBCUの昨年の売上高は154億㌦(約1兆6,940億円)、純利益は31億㌦(3,410億円)を計上しており、業界内では買収額は400億㌦(約4兆4,000億円)を下らないだろうとの見方も出ていて、買収の余力がある企業はマイクソフトとタイムワーナーぐらいといったところ。