NBC五輪放送、ネット配信に課題残す

8月24日に閉会された北京五輪の米国内独占放送をしたNBCユニバーサル(NBCU)は地上波テレビとケーブル局の番組が記録的な視聴率を収めたが、インターネット配信では課題を残したようだ。NBCUでは専用サイト「NBCOlympics.com」を開設、オンライン・ビデオ配信は2,200時間と史上最長となった。同社ではページビューが12億件を記録したほか、オンライン・ビデオ閲覧回数は閉会式前日までに7,200万件に上ったとしている。

しかし、業界内には「NBCUがインターネット上の映像配信の独占権をフルに生かせなかった」とする見方が出ている。インターネット専門の調査会社「eMarketer」はこのほど、独自の調査結果を発表、NBCOlympic.comが五輪期間中に得たオンライン広告の売上げは575万㌦(約6億3,300万円)に留まったと推定。10億㌦(約1,100億円)を超過したテレビCM売上げに比べ、「極めて小さなものに終わった」としている。NBCU関係者はニューヨーク・タイムズ紙に、「インターネットCMはテレビCMとの包括販売に含まれているケースが多く、個別の数字は公表できない」としている。

eMarketerによれば、CBSネットワークが毎年放送している全米大学体育協会(NCAA)主催の人気バスケットボール競技の決勝ラウンド「マーチ・マッドネス(3月の熱狂)」のオンラインCM売上げが2,300万㌦(約25億3,000万円)を計上していることを挙げ、オリンピック画像の流失を懸念したNBCUが動画配信をNBCOlympics.comのみに限定したことが間違った選択だったと解説している。CBSのマーチ・マッドネスは、人気動画共用サイト「ユーチューブ」、人気ソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)「フェイスブック」、ヤフー・スポーツなどにもマルチ配信をしている。