NYタイムズ電子版が有料化か

米有力紙ニューヨーク・タイムズ紙の電子版が有料化されるかもしれない。業界誌メディアウィークによると、有料化が目下、社内で真剣に検討されている模様だ。同誌の編集主幹ビル・ケラー氏がインターネット上の読者とのフォーラムで明らかにした。ケラー氏は、「インターネット上の広告売上高は上昇しているが、まだ不十分。商品(記事)に対し代価を払ってもらうべきかどうか、その是非をめぐって議論が戦わされている最中だ」と発言した。現在、サイトへのフルアクセスを一括料金にする案や、ページ・ビュー毎に小額の料金を課金する方法などが検討されているという。料金化の具体的な日程は決まっていない。ニューヨーク・タイムズの電子版は当初有料サイトだったが、約2年前に無料化したばかり。新聞社のサイトとしては人気ナンバーワンを誇っている。

米国の新聞業界では購読数の下降減少に歯止めがかからない一方、電子版の利用数は上昇中。ただ、オンライン広告収入はまだ単価が安く、本紙の収入を補完するまでには至っていないのが現状。その上、ニューヨーク・タイムズ紙では姉妹紙ボストン・グローブ紙を合わせた昨年10-12月期のオンライン広告売り上げが減少するという気になるデータも出ている。

ところで、ニューヨーク・タイムズでは米アマゾン社の電子ブック・リーダー「キンドル」やパソコン上に紙面がダウンロードできるサービス「TimesReader」にはすでに課金をしている。ケラー氏は、TimesReaderが年間1000万㌦(約9億円)規模の加入料を獲得していることを例に挙げ、「有料化よりも、オンライン利用者を増やし広告増収を図ったほうがいいという意見もあるが、料金を払ってもいいと考える利用者がいることも確かだ」と述べている。

米国では保守系有力紙「クリスチャン・サイエンス・モニター」紙が今春、紙の発行を止め有料電子版に乗り換えるほか、ウォルストリート・ジャーナルの電子版が有料になっているが、大半の新聞社はウェブサイトを無料提供している。