TV広告費、減少は避けられない見通し


経済の先行き懸念が一段と強まっている米国で、2009年の広告費に大きな影響が出る見通しだ。米調査会社フィッチ・レイティング社によると、来年の広告費の落ち込みは2001年以来最悪のものになるという。来年のテレビ向け広告費を見ると、マイヤーズ・パブリッシング社が4%減、バークレイ・キャピタル社は7.8%減と、そろって悪化することを予測している。来年はオリンピックが開催されないことや、大統領選挙などが行われない年であることも、悲観的な市場予測の要素になっているという。

別な調査会社eMarketerは、来年のテレビ広告費は今年に比べ4.2%減少となる総額669億㌦(約6兆3555億円)ほどになると見込んでいるが、同社の上級アナリスト、キャロル・ロール氏は、生活者によるインターネットなどデジタル・メディア利用時間が増大していることに注目。「そうした状況に対応した広告主によるテレビ離れの影響も少なくない」と分析している。

そして、テレビ以外の既存メディアはより悲惨な状況になりそうだ。4大媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)の中で、一番の広告費落ち込みを見せるのが新聞で、12%減(バークレイ)あるいは15%減(マイヤーズ)などと二桁台の減少が見込まれている。雑誌もほぼ新聞なみの不振となりそうで、12.5%減(バークレイ)や13%減(マイヤーズ)などといった予想が出ている。ラジオは、7.4%減(バークレイ)及び10.0%減(マイヤーズ)などと、活字媒体ほどではないものの、テレビを上回る減少幅となっている。

広告業界誌アドバタイジン・エイジは、「経済不安から既存メディアに対する広告支出が減少する傾向がますます強まるばかりか、広告主の間で既存メディアに対する評価が確実に変わって来ていることに注目すべきだ」と指摘している。同誌によると、既存メディアの広告効果に疑問を感じ始めている広告主が、広告の出稿先を、ケーブル局やインターネット配信番組にシフトする傾向が来年以降さらに強まるという。