TWCとニューズが新番組送信契約を締結


米ケーブルテレビ(CATV)第2位タイムワーナー・ケーブル(TWC)と米メディア複合企業ニューズ・コーポレーション(以下ニューズ)が元旦、新たな番組再送信契約を締結した。メディア業界が固唾を呑んで見守った両社の交渉は、デッドラインを過ぎても続けられぎりぎりの折衝だった。


旧契約は、2009年12月31日をもって終了したが、ニューズは新契約をめぐって、Foxネットワークや系列局の番組再送信料として一世帯当たり月額1ドルを要求、要求が認められない場合は、同社傘下のケーブル局を含む、すべての番組送信を停止すると通告していた。これを不当な要求と主張したTWCとの間で交渉が難航。両社はTWCがサービスを展開するニューヨークやロサンゼルスなど主要都市の新聞に全面広告を連日のように掲載するなど非難合戦が展開された。


しかし、デッドラインが近づいても両社の溝は埋まらず、正月にはFoxネットワークが放送権を独占する国民的行事、大学アメフト中継を控えていたこともあり、視聴者から議会などに交渉の調停を求める声などが高まったこともあり、両社は元旦未明に合意にこぎつけた。新再送信料は公開されないが、50~60セントで決着したという推測も出ている。


CBSコーポレーションは一世帯当たり月額50㌣でTWCとの番組再送信契約を結んでいると言われているが、ニューズがいきなり高額の送信料を要求したことで、今夏、CATV事業者などとの契約更改を控えるウォルト・ディズニーやNBCユニバーサルなど、他社の契約交渉に大きな影響を与えることになりそうだ。


「未曾有の広告不況に悩む放送事業者が、再送信を新たな収入源として捕らえ始めた新たな動きだ(ニューヨーク・タイムズ紙)」などと注目されている一方、「CATVや衛星放送の加入料などの値上げにつながる動きで、消費者が犠牲者になる動きだ(消費者団体)」などの警笛も鳴らされている。ちなみに、米消費者がCATVや衛星放送に支払う加入料は年間約1億㌦(約90億円)。米調査会社セントリストによると、平均加入料は月額75㌦(約6750円)。