Upfrontが新視聴率発表で混乱か


米テレビ界にとって最も重要なイベントであるUpfront(アップフロント)の開催を5月に控え、ネットワークと広告主の間にちょっとした混乱が生じている。Upfront(9月から始まる新シーズン番組の予約販売)では編成内容発表と、各番組で放送されるCMの予約販売が行われるが、これまでの交渉で基準に使われていた視聴率は、「ライブ・ビューイング」と呼ばれるいわゆる世帯及び個人視聴率の統計だった。

ところが、今年はニールセンが新たに始めたCM視聴率と、DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)で録画された番組の視聴率なども検討材料に含まれることになり、CM価格をめぐる双方の駆け引きが活発化するのは必至の情勢だ。

NBCユニバーサルのマーケット・リサーチ担当社長のアラン・ワーツェル氏は、「今年は様々な測定値を鑑みなければならず、番組の価値判断が複雑だ。こんなUpfrontは初めての経験だ」と述べている。それでも、ネットワーク関係者は、「これまで測定されていなかった視聴者を発掘することが可能で、ひいてはCM料金の値上げにもつながるはず」とし、ネット側に有利に働くとの自信を示している。

そんなネットワーク関係者の願いに応えるかのように、今年のUpfrontの好調ぶりを占う予報が出た。米大手証券会社メリルリンチの著名なメディア・アナリスト、ジェシカ・リーフ・コーエン氏の予測によると、新シーズンは、後半に大統領選挙予備選と北京五輪を控えていることなどから、昨年を上回る売り上げが期待できる模様。 4大ネットワークの予想売り上げ高の内訳を見ると、超人気番組「アメリカン・アイドル」をかかえるFoxネットワークが、前年比6%アップとなる18億㌦(約2,160億円)。

ABCが同5%増(19億3,000万㌦)と好調持続。NBCも復活の兆しを見せ同5%増の19億3,000万㌦とABCと同額の売上を獲得するという。CBSだけが前年比横ばいと、唯一不調に終わりそうだ。