USOCとコムキャストが五輪専門局開設か


米国オリンピック委員会(USOC)はこのほど、全米最大のケーブルテレビ(CATV)事業者「コムキャスト」と提携し、専門局「USオリンピック・ネットワーク」(USON)を創設すると発表した。新局の立ち上げは、2010年にカナダのバンクーバーで開催予定の冬季五輪後を目標にしている。ただし、この構想を実現させるためには、国際オリンピック委員会(IOC)からの承認が必要。また、米国で五輪放送独占権を保有するNBCユニバーサルからは反発の声が出ており、新局の具体化には紆余曲折がありそうだ。


USOCの最高執行責任者ノーム・ベリングハム氏は、新局立ち上げ構想についてウォールストリート・ジャーナル紙などに、「専門局があれば、オリンピックの精神と価値をより多くの若者に伝えられるほか、オリンピック人気を醸成できる」と説明している。同局では、選手や関係者とのインタビューや五輪ニュース、さらには歴史的なシーンなどを放送し、NBCの五輪放送を補完することにもなるという。

この発表を受け、IOCは声明の中で、「発表は一方的なもので、事前に詳細を話し合う機会がほしかった」などと反発。ベリングハム氏は、「IOCとは数年前から話し合っている。IOC内に根強い反対論があるのは承知しているが、同局はオリンピックの将来にも利益をもたらすことになる」と主張しているが、両者のぎこちない関係が表面化している。

一方、IOCに対し、2010年のバンクーバー五輪、2012年のロンドン・オリンピックの放映権総額22億㌦(約2090億円)(ウォールストリート・ジャーナル紙)を支払っているNBCの五輪担当責任者ディック・エバソー氏は、「USOCの動きはIOCとの不協和音にさらに追い討ちをかけるもの。2016年の夏季大会候補地にシカゴが立候補しているが、悪影響を及ぼすことになりはしないか」(ニューヨーク・タイムズ紙)と不快感を隠さない。NBCは、「オリンピック・ネットワーク」の名称を使う許可も得ており、同名称を他社が使用することを黙認するは考えにくいという見方も出ている。