YESネットワークに身売り話


米大リーグ「ヤンキース」が共同所有する自前の放送局「YESネットワーク」が売りに出た。米経済誌「フォーチュン」が8月3日、インターネット上で伝えたが、翌日、ニューヨークタイムズ紙が後追い報道し、「少なくともヤンキース関係者は売却に興味がないと言明している」と、部分的に否定した。

YESネットワークは6年ほど前に、球団の主要株主であるジョージ・スタインブレナー氏を中心にしたヤンキース・グループと、世界最大級の投資銀行「ゴールドマン・サックス」などが共同で創設。地域向けのスポーツ・チャンネルとしては全米で最も高視聴率を稼ぐ専門局に成長した。今売却されれば創設当時の4倍増にあたる30億㌦(約3,600億円)の値がつく(ニューヨークタイムズ紙)と言われるほどの有料チャンネルだ。どうやら「今が売り時?」」と考えたゴールドマン・サックス側が、「めぼしい買い手がいるや否や」探りを入れたというのが真相のようだ。

ヤンキースの球団社長ランディー・レビン氏は、ニューヨークタイムズ紙とのインタビューで、「我々は共同出資者のために、市場調査をしているだけだ。我々がYESネットワークを手放すことはありえない」と言明している。一方、ゴールドマン・サックスの常務取締役でYESネットワークの役員も兼務するジェラルド・カーディネル氏は、「売却すると決めたわけではない。しかし、魅力的なオファーがあれば考慮する可能性はある。ヤンキースを代弁するつもりはないが、彼らも魅力的な額が提示されれば検討するのではないか」と微妙な発言をしている。現在、具体的な交渉が始まっているかどうかについてはノーコメント。

YESネットワークは、シーズン中におけるヤンキース戦128試合の独占放送権を保有、今シーズンはHD放送を始めたほか、NAB(米プロバスケットボール)のニュージャージー・ネッツ戦なども放送。米調査会社「ケーガン・メディア・リサーチ」によると、2006年の売上は前年比6%増となる3億4,050億㌦(約409億円)。