アイパッドにメディアも熱い視線


 米アップル社は4月3日、新型マルチメディア端末「iPad(アイパッド)」を米国内の直営店などで一斉に発売した。ニューヨーク・マンハッタンの五番街にある店の前には、数日前から並んだ人も現れたが、その模様も含めニュース専門局が逐一報道するなど、ちょっとした社会現象になった。中には時差の関係で一足早く購入できるニューヨークにカリフォルニア州からわざわざやってきた若者も現れ、同商品に対する関心の高さをうかがわせた。

アップルによれば、発売日には、予約販売も含め米国内で約30万台強のアイパッドが売れ、好調なスタートをきった。米有力調査会社「フォレスター・リサーチ」では、初年度の売上台数を300万台と予測しているが、別の調査会社「iSuppli(アイサプライ)」では、710万台、2012年までには2010万台に達するとの見方を示している。


各メディア企業もアイパッド人気に乗り遅れまいと必死だ。画面が大きく見やすいこともあって、テレビ番組や映画の視聴、さらには新聞や雑誌の閲覧にも向いているとされ、各社が一斉にアイパッド用のソフト開発に着手した。発売当日までにソフトを開発した社は100社にも上るという。インターネット経由でテレビ番組や活字媒体のコンテンツが取り込めるが、電子書籍が初日だけで25万冊以上もダウンロードされた模様で、電子書籍市場に新風を巻き起こす可能性もある。出版大手ペンギン・ブックスの最高経営責任者ジョン・マキンソン氏はワシントン・ポスト紙に、「アイポッドは、消費者にコンテンツの有料モデルを受け入れてもらえる絶好機を提供してくれるのではないか」などと、大きな期待を寄せている。


CBSコーポレーションやウォルト・ディズニーなどは傘下のテレビ番組を無料提供することにしたが、番組数を限定し、将来的には有料化も視野に入れている模様だ。購読者数の減少に悩む雑誌や新聞業界も専用ソフトを用意。アイポッド人気に乗じ、新たな読者の獲得をめざしている。


アイパッドは、ほぼB5大の大きさ。画面に指で触れて操作ができるタッチスクリーンを採用。高機能携帯電話「スマートフォン」とノート型パソコンの中間に位置づけられている。最低価格は499㌦(約4万5000円)。4月末には第3世代携帯(3G)対応で記憶容量の大きい最上級機種が829㌦(約7万4700円)で発売される予定。