アイフォン値下げが話題さらう

米アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者は5日、若者に爆発的な人気のデジタル携帯プレーヤー「iPod(アイポッド)」の新型モデル数種を発表した。アイポッドの販売台数は2001年発売以来1億1,000万台(アップル社)、同機で聴取する曲はこれまでに30億タイトルが売れるという人気ぶり(CNN)で、同日の発表はネットワークの夕方ニュースなどでも取り上げられた。今回の目玉はアップルが6月末に発売した新型携帯電話「iPhone(アイフォン)」とほぼ同じデザインの「iPod Touch(アイポッド・タッチ)」。無線LANを通じてインターネットに接続し、パソコン無しで音楽やテレビ番組などのダウンロードも可能になった。

ところが、話題になったのは新型アイポッドではなく、ジョブズ氏が同時に発表したアイフォン値下げのほうだった。携帯電話と携帯プレーヤーを合体させたアイフォンは、タッチパネルなどを採用した斬新なデザインと機能で、発売時、店頭に泊り込みの客が列をつくるなど話題になったが、販売価格が599㌦(約69,000円)と高価なことから売れ行きが鈍っていた。ジョブ氏がこの日発表した新価格はなんとオリジナル価格(599㌦)の3割引きに相当する399㌦。翌日の新聞の見出しには、「値下げは絶対にしないというアップル神話が崩れた」(ウォールストリート・ジャーナル紙)、「クリスマス商戦に先駆け値下げを決行した苦渋の選択」(ニューヨークタイムズ紙)、などとネガティブな報道ぶりが並んだ。ウォール街も同様で、この日のアップルの株価は、前日比5%もの下げを見せた。

一方、米調査会社「フォレスタ」では、アップルの音楽・番組配信サイト「アイチューンズ」とコンテンツの大口プロバイダーNBCユニバーサルとの関係が険悪になっていることを例に挙げ、価格を下げ普及率を上げることで交渉を有利に運びたい思惑が見え隠れしていると指摘している。