アカデミー、YouTubeの授賞式映像にNO


先月25日に開催されたアカデミー賞授賞式の主催者「映画芸術科学アカデミー(A.M.P.A.S)」はこのほど、人気動画共用サイト「ユーチューブ(YouTube)」に対し、同サイトにいっせいに掲載された授賞式の模様などを直ちに削除するよう要請した。

同サイトには授賞式の司会を務めたエレン・デジェネレスさんの冒頭のモノローグ・シーンや、授賞式途中に登場した人気コメディ俳優ウィル・フェレルさんを中心とした3人組のミニ・ミュージカル、さらには人気歌手ビヨンセさん(写真)による「ドリームガールズ」のシーンなどが掲載され、人気を博した。中でもフェレルさんらが、コメディ映画がアカデミー賞に選ばれないことを皮肉交じりに訴えたミニ・ミュージカルのシーンは大人気を博し、25万件もの閲覧回数があったという。

A.M.P.A.S.のリック・ロバートソン氏は、「著作権とアカデミーの価値を守るための手段だった」と削除要請の背景を説明している。 インターネット上ではA.M.P.A.S.とウォルトディズニー傘下ABC.comの共同運営によるサイト「Oscar.com」が授賞式のハイライトを5分間に編集し動画放送しているほか、受賞者全員の舞台裏でのインタビューの模様が視聴できるオフィシャル・サイト「Thank-You Cam」があるが、いずれも冒頭にスキップできないCMが挿入されている。

2月上旬には米メディア大企業バイアコムがユーチューブに対し、同サイトに掲載されていたバイアコム傘下のケーブル局の番組10万件を削除するよう要請を出したばかり。ユーチューブの親会社グーグルのエリック・シュミッツ最高経営責任者はロイター通信に対し、著作権がクリアになっていない素材などの掲載を防ぐプログラムを開発中で、近日中にも実用化されるとの見通しを示している。