アカデミー賞、視聴率振るわず


今年で第83回目となる米映画界最大のイベント、アカデミー賞の発 表と授賞式が2月27日、ロサンゼルスのコダック・シアターで開催された。授賞式の模様は、ABCネットワークが20:30時(米東部時間)から3時間に わたり独占放送した。他番組を寄せ付けない圧倒的な人気ぶりを発揮したが、世帯視聴者数は3760万人と、昨年比9%減少。特に広告主が重要視する 18~49歳層の視聴率は、11.7%と昨年比12%も減少し、関係者にとって落胆せざるを得ない結果だった。


今年は番組視聴者の若返りを図ろうと、式に参加した俳優などが番組中にツイッター(不特定多数の人に向けて短いメッセージを発信できるサービス)を通して 舞台裏の模様を伝えたほか、司会者に若者に人気の女優アン・ハサウェイさんと男優ジェームズ・フランコさんを起用したが裏目に出た格好だ。特にフランコさ んの司会ぶりが退屈を極めていた(ハリウッド・レポーター誌)などと不評だったほか、受賞作などの前評判が特定の作品に集中していて結果が容易に予想でき たことなどが視聴者の興味をそぐ形となった。


ちなみに、米国ではスーパーボウルに次ぐ人気番組として位置づけられる同番組は、番組内で放送されるCM料金もスーパーボウルに次ぐ高額に設定されてい る。今年は、広告市場が回復したこともあり、米調査会社キャンター・メディアによれば、30秒CMが170~180万㌦で取引された模様。全CM枠が数週 間前に完売する盛況ぶりで、売上総額は2008年に記録した8000万㌦台を回復したという。


ところで、授賞式の中でABCネットワークは、アカデミーとの契約を2020年まで延長したことを発表した。これによって、アカデミー賞の模様はABCが45年連続で独占放送することになる。


なおこの日、注目の作品賞には、エリザベス英女王の父ジョージ6世が吃音(きつおん)を克服する姿を描いた作品「英国王のスピーチ」が、主演男優賞には同 映画でジョージ6世役を演じた、コリン・ファースさんが、主演女優賞には「ブラック・スワン」でバレリーナ役を演じたナタリー・ポートマンさんが選ばれ た。