アカデミー賞が5年ぶりの高視聴率


米映画界最大のイベントで最高の栄誉とされる第82回アカデミー賞 の発表と授賞式が7日、ロサンゼルスのコダック・シアターで開催された。授賞式の模様は、ABCネットワークが午後8時30分から11時39分(米東部時 間)まで全国向けに生中継した。今年から各カテゴリーの候補作品が従来の5作品から10作品に増えたこと、興行収入が歴代1位を記録したSF大作「アバ ター」人気も手伝って、ニールセン社の速報によれば、世帯視聴率は昨年比14%増となる26.5%(シェア40%)、平均視聴者数も4130万人と5年ぶ りの高記録となった。


特に、各カテゴリーのノミネート数が10作品に増えたことで、幅広い映画ファンをひきつけることに成功した(ウォールストリート・ジャーナル紙)模様で、 広告主が重要視する若者層(18~49歳)の視聴率は昨年比12%増となる12.5%を記録した。同番組が高視聴率を獲得したことで、ABCネットワーク ばかりか、「テレビの時代はまだ終わっていないことが実証された」(ブロードキャスティング&ケーブル誌)「地上波テレビにとって朗報となった」(ニュー ヨーク・タイムズ紙)などと、業界内に歓迎ムードが広がっている。


同中継番組は、スーパーボウルに次ぐ、CM料金の高い番組としても知られているが、今年は不況にもかかわらず、全CM枠が完売。30秒の料金も昨年の 130万㌦(約1億1700万円)(推定)を上回る140万㌦から150万㌦で取引された模様。ABCは来年のCM料金交渉に向け、大きな弾みをつけた (ウォールストリート・ジャーナル紙)などと指摘する向きもある。


ところで、アカデミー賞のほうは、イラク戦争で爆発物処理に携わる米軍兵士を描いた映画「ハート・ロッカー」(キャスリン・ビグロー監督)が最も栄誉ある 作品賞のほか、監督、脚本賞など6冠を独占した。ビグロー監督は、アカデミー賞史上初となる女性の監督賞受賞に輝いた。前評判が高かった「アバ ター」(ジェームズ・キャメロン監督)は視覚効果賞など3冠にとどまった。