アナログTV販売、年内で打ち切り


米家電小売大手ベスト・バイはこのほど、アナログ・テレビの店頭販売を今年いっぱいで打ち切ると発表した。売り残った製品についても年末時点ですべてを回収するとしている。家電小売店大手がアナログ・テレビ販売撤退を具体的な日時を示して発表したのは初めて。米国に本格的なデジタル・テレビ時代をもたらすきっかけになるとの声も上がっている。ちなみに、米国ではすでに、アナログ・テレビの新たな輸入などが禁じられているが、在庫分については継続販売が認められている。

また、ベスト・バイは来年1月から、従来型のテレビでもデジタル放送が見られる外付けチューナーの販売を始めることも明らかにした。米国では、地上波テレビ放送が完全デジタル化となる2009年2月17日以降もアナログ・テレビでデジタル放送が視聴できるよう、連邦政府が40㌦(約4,600円)相当のクーポン券を配給し、外付けチューナー購入の補助をすることになっている。そのチューナーの販売については、別な家電小売大手ラジオシャックが販売を決めているが、その後、他社が追随する機運が盛り上がらなかったため、危機感を募らせていた当局から歓迎の声が上がっている。

ところで、米会計検査院(GAO)の最新調査によると、アナログ・テレビ所有世帯の56%が2009年2月17日をもってアナログ波が停止することを「まったく知らない」と答えており、GAOからは、「完全デジタル化の周知活動について、官庁間で責任のなすりつけが行われていることが一因だ」などと批判が出ている。広報費にわずか500万㌦(約5億8,000万円)の予算しか計上されていないことも要因の一つとして挙げられている。米国の直接受信世帯は約2,000万軒とされているが、ケーブルテレビ(CATV)などと契約している間接受信世帯の中でも2台目は直接受信で視聴している家庭が多く、全米のアナログ・テレビ総台数は7,000万台にも上るとされている。