アナログ波停止 7割強が「知らない」


米国の地上波アナログ放送は2009年2月に終了する予定だが、2年後に迫ったデジタル化移行計画を知らない人が意外に多いことがこのほど明らかになった。

全米の公共放送テレビ局が組織するAPTS(Association of Public Television Stations)が、全国に2,200万件あるとされる直接受信世帯を対象に調査したもので、アナログ波が停止されることを「全く知らない」と答えた世帯が全体の60%を超えたほか、「聞いたことはあるが良くわからない」と答えた人10%を合わせると7割強にも上ることが分かった。「良く承知している」と答えた人は7.8%。「なんとなく知っている」と答えた人も17%に留まっている。

同調査関係者は、認知度があまりにも低い現状に愕然としている様子。「直接受信世帯はデジタル化に全く無知。対応策を講じないとこれらの世帯でテレビがブラックアウトしてしまう『09年2月サプライズ』に陥ってしまう」と、警戒感を露にしている。

同調査ではさらに、ほとんど半数に相当する46%の人が、アナログ波停止日が到来しても、「何もしない」「どんな対応をしたらいいか分からない」などと答えているという。こんな状況を踏まえて、全米放送事業者協会(NAB)、米家電協会(CEA)、全米ケーブル通信協会(NCTA)の3者がこのほど、異例のスクラムを組み、デジタル化周知のための一大キャンペーンを展開することになった。

米政府は直接受信世帯に対し、40㌦相当のクーポン券を配布。デジタル放送を既存のアナログ受像機でテレビ視聴できるよう、セット・トップ・ボックス(STB)購入の補助にあたる予定。米テレビ世帯のほとんどがケーブルTV や衛星放送の契約世帯だが、いずれのサービスにも接続していないアナログテレビが全米に約1億2,900万台(ICR/Centrisリサーチ社)あると言われている。