インターネット・テレビが普及の兆し


米国ではインターネット上のテレビ番組配信が人気急上昇中だ。そんな中、IT産業関連調査会社インスタット社はこのほど、インターネット上で配信される番組をテレビに接続してオンデマンド形式で視聴する世帯が2013年までに2400万軒に達するとの見通しを明らかにした。同社によれば、4年後の動画配信市場は29億㌦(約2900億円)規模に成長するという。


また、今回の調査では、25~34歳の動画利用者の30%に相当する人が、パソコンではなく据え置き型ゲーム機を利用して番組視聴していることもわかった。しかし、インターネット接続機能が内臓されたテレビやセット・トップ・ボックス(受信機)が普及し始めていることから、ゲーム機を利用した動画視聴数は減少すると見ている。いずれにしても、同社のアナリスト、キース・ニッセン氏は、IT技術の革新でインターネット上の動画が手軽にテレビに取り込むことが出来るようになっていることから、「テレビに取り込んだ動画視聴が2011年までにブレークする可能性がある」と見ている。

ところで、テレビ局やケーブルテレビ事業者の中には、インターネット上の動画人気がさらに拡大すれば、放送収入に悪影響を及ぼすと懸念する向きが少なくない。ニッセン氏は、こうした事業者に対し、オンデマンド・サービスの展開における新しいビジネス・モデルの構築を提唱している。具体的には、有料チャンネルで大成功を収めているHBOを参考に、高額制作費をかけた高視聴率が稼げるAクラスの番組は有料に、Bクラスの番組やアーカイブ番組などは無料で配信し、サービス内容を差別化するというもの。ニッセン氏はさらに、「オンデマンド・サービスが普及したとしても、スポーツ番組やトーク番組など生中継に対する需要が無くなることはない」と述べ、「オンデマンド・サービスの拡大によって放送そのものが無くなることは考えられない」と、強調している。