インターネットがテレビの強い味方に


米テレビ界から敵視されていたインターネットが、“強い味方”として見直される動 きが出ている。今年は、スーパーボウルやグラミー賞の中継番組に続きバンクーバ五輪が記録的な視聴率を獲得するなど、米テレビ界に活気が戻っているが、 フェイスブックなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)や簡易ブログ・サービス、ツイッターなどを使ったインターネット上の“井戸端会議” 現象が大きな役割を担っていることが指摘されているからだ。


米調査会社ニールセン社の調査によれば、スーパーボウルやバンクーバ五輪のテレビ中継を視聴した人の7人に一人が同時にインターネットを閲覧していたこと が明らかになった。テレビを見ながら、その内容などについてインターネット上で展開される会話に参加している人が少なくない模様で、こうしたネット上の井 戸端会議が視聴率を押し上げている可能性が大きいという。スーパーボウルやグラミー賞を放送したCBSネットワークを傘下に置くメディア企業CBSコーポ レーションの最高経営責任者(CEO)レスリー・ムンベス氏は、ニューヨーク・タイムズ紙に対し、「人々は(テレビ視聴を介して)お互いにつながりを求め ているのだ。インターネットは我々にとって敵ではなく友人だ」と指摘している。

こうした傾向を受けて、NBCネットワークは、1月中旬に開催されたアカデミー賞の前哨 戦「ゴールデン・グローブ賞」の模様を、3時間の時差がある東西海岸向けに初めて同時中継した。関係者は、「全国の視聴者が同時に授賞式の模様を見なが ら、インターネット上でチャットできた」と説明しているが、視聴率への好影響に勇気付けられ、今秋放送予定のエミー賞受賞式についても同時中継に踏み切る ことにした。NBCのリサーチ部門責任者アラン・ウォーツェル氏も、バンクーバ五輪高視聴率の要因として、ネット上の井戸端会議があることを強調している 人の一人。「人々は共通の話題に飢えている。そして、こうした人々は、大型の中継番組のみならず、通常の番組にも重要な視聴者として捕らえて行かなければ ならない」としている。