エミー賞、ケーブル局番組が大健闘


米テレビ界のプライムタイムで放送されている最も優秀な番組に贈られるエミー賞の授賞式が21日、ロサンゼルスで開かれた。注目のドラマ部門とコメディー部門の最優秀賞にケーブル局の新番組と地上波テレビの人気番組がそれぞれ選ばれた。連続ドラマ部門の最優秀賞を獲得したのは、映画・ドラマ専門のケーブル局「AMC」が昨シーズンにデビューさせたばかりの「マッドメン」。同番組は、1960年代のニューヨークを舞台に広告業界の裏側を描いたもの。ベーシック・チャンネルで放送されている番組がドラマ部門の最優秀賞に輝いたのは始めてのこと。ネットワークテレビの面目がつぶれたかたちだ。

コメディー・シリーズ作品賞には、テレビ業界の裏側を描いたNBCテレビの人気番組「30ロック」が昨年に続き受賞した。

一方、これまでにも、数々のエミー賞番組を輩出している有料チャンネル「HBO」は、米国の独立戦争を舞台にしたドラマ「ジョン・アダムス」がミニ・シリーズ賞を受賞したほか10のエミー賞を受賞し、NBC(4賞)やABC(3賞)などネットワークを押さえ、最多受賞局の栄誉に輝いた。このようなケーブル局の健闘ぶりに、「ネットワークのプライムタイム編成はリアリティー番組偏重気味。重厚なドラマはケーブル局の十八番になりつつある」などと指摘する声が報道の中で目立っている。

なお、同授賞式の模様はABCネットワークが全国向けに特別番組を組み中継したが、ニールセン社の速報によると、広告主が最重要視する視聴者層(18~49歳)の視聴率は3.8%(シェア9%)、1992年来最悪の記録となった。世帯視聴者数は1,220万人だった。裏番組に人気のアメリカン・フットボール中継番組(NBC)や米大統領候補ジョン・マケイン(共和党)、バラク・オバマ(民主党)両氏とのインタビューを放送した報道番組「60ミニッツ」(CBS)など、強力な番組があったこともABCに不利に働いた。