エミー賞、コメディー最優秀賞にモダン・ファミリー


 米国のテレビ番組や俳優などが対象となる米テレビ界最高の栄誉「エミー賞」の発表と受賞式が29日、ロサンゼルスで開催された。ドラマ部門の最優秀賞には、主に映画番組を中心としたケーブル局「AMC」(米メディア企業「レインボー・メディア」傘下)が放送する「マッドメン」が3年連続で選ばれた。同番組は1960年代の広告業界で奔放に振る舞う男女が主役。当時の社会情勢や風俗の忠実な描写が高い評価を集め、米テレビ界を代表するヒット番組になっている。


一方、ドラマと並び注目されたコメディー部門は、ABCネットワークが昨シーズンにデビューさせたばかりの「モダン・ファミリー」が最優秀賞を獲得した。これまで3年連続で栄冠に輝いたNBCネットワークの「30ロック」を打ち破いたばかりか、ABCのコメディー番組にとって20年ぶりとなるエミー賞受賞となった。同番組は典型的な核家族やベトナムから養女を迎えたゲイカップルなど、多様性に飛んだ米家族を描いたもの。番組開始前には、「地上波ネットワークしかも家族そろって楽しむプライムタイムにはなじまない番組ではないか」などと懸念されたが、初回がいきなり1300万人に迫る視聴者数を獲得。いまやABCの看板番組の一つになった。米報道ぶりを見ると、いずれもマッドメンの快挙をしのぐ扱いになっている。


ところで、ここ数年のエミー賞はそれぞれのカテゴリーでケーブル局の番組が圧倒的な存在ぶりを示している。あまりの躍進ぶりに「エミー賞は、ケーブル局番組偏重になってしまった。地上波テレビ番組を正当に評価する新しい賞を創設すべきだ」(ネットワークテレビ関係者)などとする動きが出ている。しかし、今回のエミー賞ではモダン・ファミリーをはじめ数々のネットワーク番組に焦点があたり、「ネットワークテレビとケーブル局番組が共存できることが証明された」(ニューヨーク・タイムズ紙)などの評価も出ている。