オバマ氏当選で新聞完売続出


日刊紙廃刊に追い込まれる有力新聞があらわれるなど、存続が危ぶまれるほどの不振がつづく米新聞界(先週号既報)に朗報が飛び込んだ。史上初となる黒人大統領が誕生した選挙翌日(11月4日)の新聞各紙が完売続出。増刷分もあっという間に売り切れるほどの人気ぶりだ。歴史的な選挙の結果を報じた新聞を、生涯の記念品にしようと考える読者が、新聞スタンドばかりか、直接新聞社に押し寄せるところも出た。5日付けのニューヨークタイムズ紙は、「オバマ勝利で新聞が必需品になった」との見出しでこの模様を伝え、「少なくとも今日一日だけは新聞が“格好いいもの”に戻った」と苦笑い?

新聞社側もこの日ばかりは需要が増えると見込み、ニューヨークタイムズ紙は普段の発行部数を35%も上回る新聞を印刷したが、それでも不足。新たに75,000部を増刷したが瞬く間に売り切れとなった。首都を代表する新聞ワシントン・ポスト紙も普段は新聞スタンド用に10万部を印刷するが、この日は余分に3万部を印刷し市内に発送した。ところが、すべてがあっという間に完売したという。オバマ次期大統領の地元シカゴの新聞シカゴ・トリビューンも店頭向けに普段より2万部多く印刷したが、あまりの売れ行きに、急遽増刷数を20万部に変更したが、市内には各所で新聞を求める長い行列が現れた。

インターネット上のオークション・サイト「eBay(イーベイ)」や生活便利交換掲示板サイト「Craigslist(クレイグスリスト)」では、これらの新聞に200㌦(約2万円)の値が付くほどの人気ぶり。テネシー州メンフィス市の新聞社では急遽、この日の一面を印刷したTシャツの販売を決めるなど、オバマ氏が新聞各社に「夢のような日」をプレゼントした格好だ。