オンライン番組をフル画面提供

米テレビ界でオンライン・ビデオをめぐる動きが活発になっている。ABCネットワークがパソコン用の番組配信のフル画面サービス開始を発表したほか、CBSネットワークが、ライブラリー番組のオンライン無料配信数を大幅に増やすことになった。

米テレビによる番組のインターネット無料配信の先陣を切ったのはABC(ABC.com)。2006年に同ネットワークで放送されているプライムタイムの人気番組を全編放出した。スタートが早かったこともあり、視聴者からの認知度も抜群。月間のユニーク・ユーザー数も890万人と地上波ネットワーク中、人気ナンバーワンを誇っている。そのABC.comではこのほど、番組をパソコンで視聴する際に映像がフル画面で再生されるサービスを今秋からスタートすると発表した。HD画像も導入する予定で、テレビ受像機なみの番組視聴に近づくことになりそうだ。

フル画面のほか、耳の不自由な人のための字幕スーパー(クローズドキャプション)が利用出来るようになるほか、番組を友人に紹介したい人のために、番組のリンクをソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などに手軽に送信できる機能も追加される。ABCエンターテイメントのデジタル・メディア部門担当の副社長アレックス・ラポー氏は、ハリウッド・レポーター誌に、「この分野の業界リーダーとして、これからもオンライン視聴者により良い視聴経験を提供すべく様々な方法を展開していきたい」と述べている。ABC.comではプライムタイムで放送されている「ロスト」や「グレイズ・アナトミー:恋の解剖学(邦題)」などの人気ドラマを放送翌日から提供している。オンライン上の番組には番組前後と途中に数回放送されるCMが挿入されており、若干の副収入になっているが、オンライン配信の目的は、手軽な見逃し視聴の提供と新たな視聴者の発掘にあるとされている。