オンライン番組配信の有料化案


米国ではインターネット上のテレビ番組配信が人気急上昇中。ほとんどのサービスが無料型だが、有料化に向けた注目すべき動きが出た。米ケーブルテレビ(CATV)事業者、コムキャストが昨年末スタートさせた「Fancast Xfinity TV」がそれ。これまでインターネット配信されたことがないケーブル局番組が見られることが特色だ。ただし、視聴にはコムキャストが提供するビデオ配信サービスとブロードバンド・サービスに加入することが条件となっていて、間接的な有料モデルだ。


インターネットを利用したテレビ番組視聴が定着すればCATVそのものの存在が危うくなる可能性もあり、CATV事業者の間で対応策が検討されていたが、Fancastモデルが一つの回答と位置づけられている。コムキャストなどは、利用者がパソコン上で番組を見る流れは変えられないとの判断から、少なくとも加入者のCATVサービスからの離反を防ぐことを主眼にしたビジネスモデルの開発に当たっていた。他CATV事業者も同様なシステムを導入し追随する模様で、米オンライン配信に新たな変化をもたらすきっかけになる可能性もある。


Fancastサービス利用には、コムキャストのホームページから専用のソフトをダウンロードすることが必要。加入者のみがログイン出来る仕組みになっている。そのため、これまでは誰もが利用できた無料サイト「Hulu(フールー)」などで提供されていなかった、ケーブル局の番組がオンライン視聴できるようになった。


CATV事業者からの配信料が重要な収入源となっているケーブル局はこれまで、CATV各社に配慮するかたちで番組のオンライン配信は行っていなかった。CATVの有料チャンネルに加入している世帯は、HBOなど人気チャンネルの番組視聴も可能となる。


ちなみに、米調査会社ニールセンによれば、09年11月に米国でオンラインビデオ視聴をした人は11.4%増となる1億3800万人を記録した。