グーグル・ユーチューブがバイアコムに勝訴


ニューヨーク連邦地裁は6月23日、米メディア企業大手バイアコムが米動画投稿サイト最大手「ユーチューブ」とその親会社グーグルを相手取って、著作権を侵害されたとして損害賠償を求めていた訴訟を却下した。バイアコムは07年3月、ユーチューブに対し、同社傘下の人気ケーブル局「MTV」や「コメディー・セントラル」などの番組から無許可で抜粋・掲載されていたビデオ・クリップ10万件を直ちに削除するよう要請したほか、人気番組の中には15億回以上も閲覧されたものもあるとし、損害賠償額は10億(約900億円)以上に上ると主張していた。


ニューヨーク連邦地裁のルイス・スタントン判事は、バイアコムの訴えを退けた理由として、「ユーチューブは1998年に制定されたDMCA(デジタル・ミレニアム・コピーライト・アクト)法に基づいて、違法とわかったビデオ・クリップは速やかに同サイトから削除していた」と、ユーチューブ側の主張を認めた。DMCA法は、「ユーチューブのようなオンライン・サービス会社が、コンテンツ・プロバイダーから違法なコンテンツなどが使われているとの指摘を受け、削除した場合は、著作権侵害行為には当たらない」としている。


グーグルの法務担当最高責任者のケント・ウォーカー副社長は、今回の判決を受け、「我々にとって重要な勝利であるばかりか、インターネットを使ってコミュニケーションを図ったり、お互いの経験を分かち合っている何十億という世界中のユーザーにとっても大勝利だ」と述べている。

バイアコムは同地裁の判決を不服として控訴する方針。同社は声明の中で、「同地裁の判決は、DMCA法や連邦議会の考え方、さらには最高裁の解釈に反するもの。ユーチューブとグーグルが、他人の著作権を侵害し私欲を肥やすという計算ずくめの行為を行ったのは明らかだ。上級裁での審議を楽しみにしている」とコメントしている。