ケーブル局のアルコールCMが急増


米国のテレビではアルコール類のCMに大きな自主規制がかかっている。その傾向は、特に地上波放送で顕著で、日本で見られる、「タレントがビールを飲み干すシーン」などはタブーになっている。一方、国から認可を受けず、公共電波を使わないケーブル専門局でははるかに規制が緩やかだ。アルコール販売と若者との関係などを研究する団体(CAMY)とカリフォルニア大学ロサンゼルス校による共同調査の結果によれば、アルコール類のCMの95%がケーブル局の番組に集中していることが分かった。


同調査は、これらのCMが直接若者をターゲットにしている事実は見当たらないとしているが、米テレビ界の慣例となってきた自主規制が、大きく崩れ始めていると批判している。この自主規制とは、広告業界が2003年に打ち出したもので、「視聴者の30%以上が、12~20歳で占められる番組にはアルコール類のCMは流さない」というもの。CAMYは広告業界に対し、この数字を15%に引き下げるよう訴えている。


同調査によると、若者視聴者が30%以下の番組では、その枠内で、若者の視聴者が1%増えるごとに、ビールのCMは7%増加、酒類のCMは15%以上増えていることが明らかになったという。広告業界側は「故意に増やしている事実はない」と、強く否定している。


米広告業界協会(AAAA)の法務担当上級副社長のアドニス・ホフマン氏は、「未成年の飲酒に注意を払わない人は誰もいない。広告業界も責任もって対応している。ただ、広告方法は、無料放送と有料放送(ケーブル局)では違ってくることも分かってほしい」と述べている。「テレビを有料で見ている人は、CM内容も(無料放送とは)異なることを承知の上で視聴しているはずだ」と、暗にケーブル局におけるアルコールCM放送を擁護している。ちなみに、米国では最低飲酒年齢は21歳。