GMが北京五輪後の撤退を表明


北京五輪まであと1年。米国で独占放送権を保有するNBCユニバーサル傘下のネットワーク及びケーブル局の放送時間の合計がテレビ史上最高となる3,600時間になることが発表されたが、これまで最大級のスポンサーだったGM(ゼネラル・モーターズ社)が、同五輪を最後に、スポンサーを降りることになった。広告業界誌「アドバタイジング・エイジ」や経済紙「ウォールストリート・ジャーナル紙」などが、「NBCや米オリンピック委員会(USOC)にとって大打撃になる」などと、一斉に取り上げた。

GMはNBCがこれまで放送してきた五輪放送で毎回1億㌦(約120億円)相当のCMを提供している大スポンサー。GMの広報担当リンディー・カーニー氏は撤退について、「メディアを取り囲む環境が大きく変化している。10年契約などという長期契約ではなく、激変する市場に対応するため、我々も柔軟な対応が出来る体制に変えていかなければならない」と、広告戦略の一新を訴えている。

米調査会社「TNSメディア・インテリジェンス」によると、GMの昨年度のテレビCM予算は14億㌦(約1,680億円)と前年比14%の減少となっているが、バナー広告などインターネットへの広告費は1億2,970万㌦(約156億円)と16%増加した。

ウォールストリート・ジャーナル紙は、GMの決定が①広告費を長期的にコミットすることなく、柔軟かつ迅速に割り当てる時代が到来したこと②広告費の既存メディアからニューメディアへのシフトがより鮮明になった、という二つのメッセージを市場に送っているとしている。

また、USOCにとってGMは、1984年以来、米国選手のトレーニング費用などに毎年平均500万㌦(約6億円)を提供してくれている貴重な運営スポンサーだ。ちなみに、USOCはGMの撤退によって年間予算の4%を失うことになるという。