スミスさん急死、ケーブル局が重点報道


2月8日に急死した米国の元有名モデル、アンナ・ニコル・スミスさん(39歳)の過熱気味の報道に批判的な意見が噴出している。特に槍玉に挙がっているのがCNNテレビやFoxニュース・チャンネルなどニュース専門局。これらのチャンネルが8日はもとより、翌日9日に割いたスミスさん関連ニュースはプライムタイム全体の5割にも及び、「唖然としか言いようの無い対応ぶり」(フィラデルフィア・インクワイヤラー紙)などとする論評も出ている。

コロンビア大学ジャーナリズム大学院のシンクタンクPEJ(Project for Excellence in Journalism)のマーク・ジューコウィツ所長は、「スミスさん騒ぎ」について、「なぜこの女性の死がそれほど注目されるのか、だれも明快な答えを持っていない中、報道量の多さが際立ちびっくりさせられた」と述べている。

PEJの調べによると、ケーブル局で前日まで盛んに取り上げられていたイラク戦争関連や2008年大統領選挙関連のニュースは、トップ項目からは格下げされた格好。「いったいイラク戦争はどこに行ったのか」との印象を持った視聴者が多かったのではないか(インクワイヤラー紙)という声も。

CNNで主にワシントン情勢を扱う番組「Situation Room」も8日当日は、急遽2時間枠全編をスミスさん報道に割くほどの力の入れよう。同番組の司会者ウルフ・ブリッツァ氏は翌日の番組で、「やり過ぎとのお叱りを大勢の視聴者からいただいたが、一方で大勢の人々が関心を寄せるニュースでもあった」と弁明している。

8~9日の重点報道のおかげで、ケーブル局は週間においても、同事件報道時間が全体の21%を占める結果となった。これに対し、ネットワークはわずか8%ほど。こちらは、イラク関連や米東部を襲った雪の被害のニュースが中心に報じられた。