ゼニス社、広告支出を大幅下方修正


世界屈指の広告会社「ピュブリシス・グループ」傘下の代理店「ゼニス・オプティメディア」はこのほど、今年の世界の広告支出が昨年比6.9%減少、4532億㌦(約45兆3200億円)になるとの予測を発表した。米国の広告支出は、8.7%減、1569億㌦(約15兆6900億円)になるという。同社では昨年12月に、世界の広告支出は0.2%減、米国については6.2%の減少と予測しており、今回は特に世界の広告費が大幅な下方修正となった。ちなみに、米国以外では今年最も広告支出の落ち込みを見せるのがスペインで10.1%減。これに英国の8.7%減、仏7.3%減、独5.5%、伊5%減などと続いている。

ゼニスの北米地域最高経営責任者を務めるティム・ジョンズ氏は米経済紙ウォールストリート・ジャーナルに、「過去半年間における広告支出の削減ぶりには目を見張るものがある。企業が経費削減をする際に、広告費を真っ先に挙げる会社が急増している」と下方修正の背景を説明している。今年は、昨年のように五輪や大統領選挙といった大イベントがないことに加え、不振にあえぐ自動車、小売、金融、薬品業界による広告費大幅カットが大きな影を落としている模様だ。

ところで、同社によれば不況経済の影響で旅行や外出などをあきらめる市民が増えるため、テレビ視聴時間が増えると見ている。そのため、今年のテレビ広告費は総額では昨年比5.5%の落ち込みを見せるが、広告費全体に占める割合は昨年の38.1%から逆に38.6%に増えるという。

来年度の米国の広告費については、「米国の景気対策が功を奏すかどうかにかかっているが、広告費も上向きに転じる可能性がある」と見ているようだ。来年は1.5%の上昇。2011年はさらに前年比4.5%の増加を示し回復基調に転ずると予測している。