ソニー、DVD販売前に映画をネット配信


映画大手ソニー・ピクチャーズ・エンタテイメントは、今夏劇場公開された人気アニメ「Cloudy With a Chance of Meatballs (くもりときどきミートボール:邦題)」をDVD化に先駆けてインターネット配信すると発表した。ここのところ不振が続くDVD販売を補完しようとする狙いがあるようだ。


映画会社にとってDVD販売は、興行売上を上回る重要な事業とあって、これまではDVD販売開始以前に映画が別の媒体にリリースされることは映画界の常識では考えられないことだった。また、米国内DVD販売の三分の一近くのシェアを持つ、世界最大の小売店チェーン、ウォルマートの怒りを買うとの懸念も出ている。


しかし、ソニーの最高経営責任者、ハワード・ストリンガー氏は、ニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューの中で、「価格を24.95㌦と、小売価格より高く設定したので、小売店などからの苦情は出ないと予想している」と述べ、ウォルマートなどに配慮したことを強調している。
同社が発表した映画のネット販売は、ソニー製のインターネット接続対応型のテレビ「Bravia」と、ブルーレイ・ディスクプレーヤーのみで視聴できる。ネット販売は、12月8日から来年1月4日まで。DVD販売は1月4日以降に始まる予定。


ソニー・ピクチャーズは、グループ傘下に家電メーカーがある唯一のハリウッド映画会社。ストリンガー氏は、「同サービスは、テレビの価値を上げることにもなり、ソニー全体にとってもいいことだ」と述べている。


金融会社パリキャピタル社のアナリスト、リチャード・グリーンフィールド氏は、ソニーの決定に関して、「インターネット接続対応型のテレビが普及するまでにはまだ相当の時間がかかるだろう。ただし、方向性は間違っていないのではないか」と評している。