ソニー・インターネットTVに番組提供拒否

 ソニーは10月16日、米国内でインターネット対応型のテレビを発売した。新型テレビは「ソニー・インターネットTV」と名づけられ、インターネット検索大手グーグルの携帯端末向け基本ソフト「アンドロイド」を採用、テレビを見ながらインターネット上の動画コンテンツなどを検索できるようにした。視聴者はテレビ放送だろうがインターネットだろうが、見たい番組を検索し視聴することが可能で、「放送とネットの垣根をなくした」新型テレビとして注目を集めている。これまでにも、シャープやパナソニックなどがインターネットに接続できるテレビを販売しているが、「ソニー・インターネットTV」のように、テレビ番組とインターネット上の動画などを一度に検索することは出来なかった。価格は、画面のサイズ別に、600~1400㌦(24~46インチ型)。


ところが発売日直前に、米3大ネットワークテレビ(ABC、CBS、NBC)が番組「CSI:科学捜査班」(CBS)やABCのコメディー番組「モダン・ファミリー」やNBCのコメディー番組「ザ・オフィス」など、米テレビ界を代表するヒット作を含む番組のネット配信を停止してしまった。ソニー・インターネットTVでの検索及び視聴を未然に防ぐための手段で、米経済紙ウォールストリート・ジャーナルなどによれば、ネットワーク側が「番組を許可無くサイトに掲載してきたグーグルの姿勢に懸念を抱いているため」の手段だ。「新型テレビは、グーグル傘下のYouTube(ユーチューブ)へのアクセスを助長するだけ」「放送番組視聴を侵食する可能性もある」など、懐疑心もあるようだが、ソニー新型テレビにとって出鼻をくじかれた形だ。


グーグルは声明を出し、「どのプラットフォームにコンテンツ(番組)を提供・配信するかはプロバイダー(放送事業者)サイドが決めることだが、新型テレビの検索機能(グーグルTV)で検索できる番組はすでにインターネットを介してパソコンや携帯電話などで視聴できる現実を見てほしい」とネットワーク・サイドに呼びかけている。しかし、広告業界誌「アドバタイジング・エイジ」は、3大ネットワークがインターネットTVを警戒する裏には、「テレビ番組の広告収入が下降線を辿る中で、テレビ番組をネットで視聴する動きが急増している。しかし、そのインターネットテレビから上がってくる広告収入は微々たるもの。これ以上、ネットテレビの普及を容認するわけにはいかない、という考えが働いている」と、指摘している。