タイガー欠場でメディア・広告業界に衝撃


男子ゴルフの今季メジャー第2戦、全米オープン・ゴルフで優勝したタイガー・ウッズ(米国)が今季の残り試合をすべて欠場することになり、メディア・広告業界に大きな波紋を投げかけている。タイガーは今春左ひざの手術を受け、全米オープンが復帰戦となったが19ホールのプレーオフの末に16日に優勝した。しかし、無理がたたって再手術を受けることになり、今季残りを休養することになった。

発表があった18日は、ABCテレビが全国向けのネットワーク・ニュースで急遽取り上げるなど異例の扱い。翌日のニューヨークタイムズ紙などもスポーツ面のトップで、「大勝利の後にゴルフ界に大きな損出」と全段ぶち抜きの見出しで大きく報じた。同紙はタイガーを、90年代に米プロバスケットボール(NBC)で活躍し、バスケットボール史上最高の選手と評されたマイケル・ジョーダン選手に匹敵する米スポーツ界のスーパースターと紹介。過去5年間にタイガーが上位5位に入った54試合の模様を中継したテレビ番組の平均視聴率が4.4%と、タイガーが優勝に絡まなかった34試合の平均視聴率3.4%を3割近く上回っていると指摘。タイガー出場しないトーナメントの中継番組が痛手を負うことになると予想している。各局はすでに今季の残り試合すべてのCM枠を完売しているが、目標視聴率に達しない場合は広告主に補償することが求められる。

同日付の経済紙ウォールストリート・ジャーナルは、「プロのスポーツ選手が怪我をするのは当たり前のことだが、選手がタイガーとなれば、そのインパクトは別格だ」と論評。タイガーの欠場でテレビ局が蒙る損出を予測しながら、入場券売上にも悪影響を受けることは避けられない情勢で、米ゴルフ協会(PGA)など各主催者も打撃を受けることは避けられないだろうとしている。また、スポンサー契約をしている自動車メーカーGMが急遽CMの一部を取り下げることを決めたほか、タイガーとブランド契約をしている同社のビュイック部門が関連イベントのキャンセルを余儀なくされるなどすでに様々な影響が出ている。