タイムワーナー、AOLを12月9日に分離


米メディア大手タイムワーナー(TW)は、このほど、業績不振に陥っているインターネット部門のAOLを、12月9日をもってスピンオフ(分離)すると正式発表した。AOLの分離案は、今年4月頃から示されていたが、具体的な期日が発表されたのは初めて。


AOLは2001年1月、映画、テレビ、出版事業などを傘下におくタイムワーナーと合併、小(新興ネット企業)が事実上、大(名門メディア企業)を飲み込む買収劇となり、米社会をあっと言わせた。“通信と放送の融合時代”の幕開けを象徴する動きとしても注目を浴びた。買収額が1062億㌦(当時12兆4000億円)にも達し、米国市場最大の合併・買収(M&A)劇だった。しかし、合併後は、「AOL株が過大に評価されていた」「両社の企業カルチャーがあまりにも違いすぎる」などと、否定的な評価が浮上し、合併後たった1年半で株価が70%も落ち込むという、悲惨な状況に落ちこんでしまった。


当時、2000万人を超える会員を獲得し、大黒柱になるはずだったAOLが、サービスをダイヤルアップに頼っているという大きな落とし穴も浮き彫りになり、ブロードバンド時代に取り残される形で、ネット広告が不振に陥ってしまった。「世紀の合併」はわずか10年足らずで幕を閉じることになる。


そして、分離の正式発表があったわずか数日後、AOLが全体の三分の一に相当する2500人規模の人員削減が発表された。同社は分離後の経費を年間3億㌦削減することを目標にしており、社員に対し希望退職を募る予定だという。米経済紙ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、AOLはリストラ経費として最大2億ドル(約180億円)の特別損失を計上する見通し。