チリ鉱山落盤事件報道に記録的視聴者数


 南米チリ北部の鉱山で8月に起きた落盤事故で閉じ込められた作業員の救出作戦の模様は、世界中のメディアが現地に1000人以上ともいわれる取材スタッフを送り克明に伝えた。米国でもネットワークテレビをはじめ、ニュース専門局が連日報道し、いずれも高視聴率を獲得した。業界誌ブロードキャスティング&ケーブルは、「究極のリアリティー番組」だったと伝えている。


閉じ込められた作業員33人のうち、最初の作業員が救出されたのは米東部時間10月12日午後11時―11時15分。米調査会社ニールセンによれば、深夜近くにもかかわらず、Foxニュース・チャンネル(FNC)、CNN、MSNBCからなる3大ニュース専門局の合計視聴者数は1060万人にも上った。通常、この時間の3社合計視聴者数は200万人。なんと5倍以上もの視聴者数に達したことになる。特にCNNにチャンネルを合わせる人が多かった模様で、同チャンネルは視聴者数500万人を獲得、3社中トップの視聴率だった。これにFNCの430万人、MSNBCは130万人と続いた。


一方、最後の作業員の救出劇は、翌日(13日)のプライムタイム中に起きたこともあり、その模様が伝えられた午後8時16分から9時にはさらに多くの視聴者がテレビに釘付けになった。特にFNCの視聴者数は710万人を記録。通常の平均視聴者数約300万人の倍以上を獲得したばかりか、2008年の大統領選挙投開票報道番組以来の視聴者数となった。ちなみに、CNNの視聴者数は270万人、MSNBCは110万人だった。CNNは中間選挙関連の討論会の模様を伝えていて、救出の瞬間は画面をチリに切り替えて報道したが、プライムタイムに強いFNCの視聴者数には遠く及ばなかった。ネットワークテレビもABCニュースが通常番組を拡大し「鉱山の奇跡」を放送、高視聴率を獲得。


こんな関心ぶりに、ドキュメンタリー専門局ディスカバリーが今回の事故をもとにしたリアリティー番組制作の企画を、若者向けチャンネル「スパイクTV」が米ウエスト・バージニア州で起きた炭鉱事故を扱ったドキュメンタリータッチのリアリティー番組「Coal(コール)」を来春に向け制作することなどを急遽発表している。