テレビの買い替えサイクルが短縮


世界の消費者の間で、テレビの買い替えのサイクルが短くなっていることが明らかになった。米調査会社「ディスプレイ・サーチ」がこのほど発表したところによると、ブラウン管テレビの所有者が新しいブラウン管テレビに買い替える周期は平均1015年だったが、現在では7年と、大幅に短くなっている。

ディスプレイ・サーチ社の北米市場担当部長、ポール・ギャゴン氏は発表文の中で、「地上波テレビがデジタル化されたことと、薄型テレビの大幅な値下りが、テレビの買い替えを驚くほどのスピードで促している。特にブラウン管テレビ所有世帯で、その動きが顕著に起きている」と分析している。「テレビが時代遅れになるほど古くなった」「壊れてしまった」というのが主な理由だが、薄型テレビの価格低下も大きな要因になっている模様だ。


ギャゴン氏によれば、3D テレビやインターネット接続機能が内蔵されたスマートテレビなど、新しい機能が必ずしもテレビの買い替えのきっかけになっていないことも浮き彫りになった。


ところで、同調査では、テレビの保有状況は地域によっても様々な違いがあることが分かった。例えば、一軒に大家族で住む傾向が強いイタリアでは、リビング・ルームの他にもダイニング・ルームやキッチンなどにテレビを置く世帯が多く、買い替えも他地域に比べ頻繁に行われているという。そのため、イタリアのテレビ保有台数は米国に次ぎ世界第2位となっている。ちなみに、米国ではテレビを1台保有している世帯は全体の15.3%にとどまる一方、2台が28.4%、3台以上保有している世帯が全体の55%にも上り、テレビ台数が総人口を上回っているほどだ。

 

インドでは大型の薄型テレビの普及が急速に進んでいる一方で、小型のブラウン管テレビを保有し続ける国民も多く、社会階級の差がはっきり出ている。また、ロシアでは、広大な国土をかかえるものの、住居の面積が小さく、各家庭のテレビのサイズはむしろ日本より小さいものが普及している。そして、中国の大都会では米国並みの大型テレビを購入する傾向が強く、ステータスシンボルにもなっている模様だ。 

 <テレビ朝日アメリカ 北清>