ディズニーがユーチューブと配信契約

米巨大メディア企業ウォルト・ディズニー傘下のABCテレビジョン・グループがこのほど、人気動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」と、配信契約を締結した。米メディアが一斉に報道した。同契約によって、ユーチューブは「ABCチャンネル」と「ESPNチャンネル」を創設、ABCネットワークの人気ドラマ「ロスト」や報道番組、さらにはスポーツ専門局ナンバーワンのESPNの番組などがインターネット上でオンデマンド視聴できることになる。ただし、番組はハイライト版などが中心で、全編配信はされない。


番組には動画CMが挿入されるが、スポンサーの選択などは一切ディズニー側が行い、収益は両社に分配されるという。ユーチューブは同様な配信契約をCBSコーポレーションとも結んでいる。ユーチューブでは、このような商業モデルをより積極的に展開していきたい考えで、ある業界アナリストによれば、これまで赤字経営だった同サイトが、今年は5億㌦(500億円)の売り上げを達成する可能性もあるという。

しかし、ケーブルテレビ(CATV)事業者の中からは、ネットワークとユーチューブの関係強化に対し懸念の声が上がっている。CATVが再送信サービス以外の収入源として番組のオンデマンドに力を入れ始めており、ユーチューブに商機を奪われたくないとの考えが背景にあるからだ。ABCネットワークもCATVのオンデマンド・サービスから2008年度には68億㌦(約6800億円)の配信料を受け取った(ウォールストリート・ジャーナル紙)模様で、その辺がディズニーに全編配信を留まらせた背景になっているという。

ところで、ディズニーが、米地上波ネットワーク番組の動画配信サイトとして人気急上昇中の「Hulu(フールー)」に共同出資する動きが取りざたされている。米ネットワークテレビによる動画配信への取り組みがますます加速する気配だ。フールーは、ディズニーのライバル、ニューズ・コーポレーションとNBCユニバーサルの共同出資で創設され昨年5月に正式スタートした。