ディズニーが人気動画サイトに共同出資


米メディア・娯楽企業大手ウォルト・ディズニー社はこのほど、動画配信サイト「Hulu(フールー)」に共同出資社として参加すると発表した。フールーは、ディズニーのライバル、ニューズ・コーポレーションとNBCユニバーサルが共同出資して立ち上げた動画サイト。両社傘下のNBCネットワークやFoxネットワークなどで放送されている人気テレビ番組や映画などがオンライン上で無料オンデマンド配信されている。サイトの使いやすさや、独自に開発されたストリーミング技術の採用で画質が優れているとの評判が人気を呼び、瞬く間に動画投稿サイト最大手「YouTube(ユーチューブ)」に次ぐサイトに成長している。


ディズニーはNBCUやニューズとほぼ同等となるフールー株28%を取得するほか、2500万㌦(約25億円)相当のフールーの宣伝費(ABCで放送されるCM)を負担する。かわりに同サイトではABCネットワークの人気番組「ロスト」や「デスパレートな妻たち」、さらには「グレイズ・アナトミー:恋の解剖学」などが配信される。ABCは独自の動画サイト「ABC.com」がネットワーク中断トツの人気を博しているが、フールーの月間ユニークビジター数4200万件には及ばず、同サイトに平行配信することでインターネット上の番組視聴者数のさらなる拡大を狙う。

ところで、ディズニーの決定は、ユーチューブにとって大きな打撃になるのは間違いない情勢だ。フールー人気の急上昇に危機感を抱くユーチューブは、ディズニーに提携を持ちかけていたが、共同出資を主張するディズニー側との溝が埋まらず(ニューヨーク・タイムズ紙)、フールーにさらわれた形だ。ディズニー・ユーチューブは、番組のハイライト版のみに留まる配信契約を4月上旬に締結している。ディズニーの参入で、4大ネットワーク中、唯一取り残された形となったCBSは、「自社のコンテンツ配信は自らがコントロールしたい」との方針で、当面はフールーには加わらない模様。