ディズニーとコックスが新VOD契約


米メディア企業大手「ウォルトディズニー」はこのほど、同社傘下の「ABCネットワーク」と「ESPN」(有力スポーツ専門局)の人気番組を全米第3位のケーブルテレビ(CATV)事業者「コックス・コニュニケーション」のVOD(ビデオ・オン・ディマンド)サービスに提供することで合意した。コックス側がCM飛ばし視聴防止装置を組み入れることが条件となっており、業界の注目を集めている。カリフォルニア州のオレンジ郡にある加入世帯25万件を対象に実験サービスが今秋にも始まる予定。

ウォルトディズニー側が提供するのはプライムタイムで放送されている人気ドラマやフットボール試合など視聴者にとって魅力的な番組ばかり。サービスは放送終了12時間後と縛りはかかるが、無料で提供される。ディズニーはすでに全米最大のCATV「コムキャスト」とも番組のVOD配信契約を結んでおり、今秋相次いでディズニー系の番組がケーブルTVのVODサービスによって配信されることになる。

今回の合意は1本ごとに課金する有料配信よりもCM収入をベースにした無料配信を選択したいネットワーク側の意向にそったもの。ABCテレビジョン・グループを率いるアン・スウィニー社長は、「ネットワークにとって重要なのは、あくまで広告収入型を追及すること。コックスがCATV事業者として初めてこの点を受け入れたことになり、極めて画期的なことだ」と述べている。CATVが提供するVODサービスは、テレビ番組の場合、1タイトル99㌣(約120円)の課金が一般的だ。

CM飛ばし視聴が手軽に出来るHDD内蔵型のレコーダー、DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)が全米テレビ世帯の20%に普及しているとも言われる中、ネットワーク経営者は視聴者が今回の「ウォルトディズニー・コックス型」のVODサービスを広く受け入れてくれることを願っている。また、コックスにとってもディズニーの有力番組は、日増しに重要になってきているVODサービスにとって強力なコンテンツとなる。