デジタル化広報教育批判にFCCが応酬


米国地上波テレビ放送のアナログ停止まで2年足らずにもかかわらず、市民の間の認知度が極めて低いことに業を煮やした米連邦議会が6月初めFCC(米連邦通信委員会)に対し広報活動の強化を要求した(6月8日号既報)。連邦議会は、「政府レベルのリーダーシップの欠如がこの移行を危うくしている」と厳しく批判している。

これに対し、FCCのケビン・マーチン委員長はこのほど、「広報活動用に計上された150万㌦(約1億8,000万円)の予算を受け取っていない。PRビデオなどを制作したいと思っているが、予算がなければ不可能だ」と述べ、予算処理を怠っている議会側に責任があると応酬した。

マーチン委員長はさらに、ケーブルテレビ(CATV)事業者に対し、アナログ放送停止後に新しいコンバーター(変換機)の費用を加入者に強いることのないように行政指導をしている点や、ネットワークのHD番組をダウンコンバートしないよう要請していることなどを挙げ、FCC自らが着手しているデジタル化推進努力をアピールしている。

マーチン委員長はまた、デジタル化移行に関する広報活動はFCCではなくNTIA(米電気通信情報局)が責任を負うべきだとの立場を強調した。ちなみに、NTIAは、デジタル放送をアナログテレビでも視聴できるようにするコンバーターを購入する際のクーポン券発給の所管庁。

このようは状況を業界誌「TVテクノロジー」が「いったい責任者は誰なのか」と題した社説で取り上げ、「デジタル放送への移行が成功するかどうかは、米視聴者に対する公教育にかかっている」と強調、責任者不在の現状を憂えている。