デジタル移行対応、マイノリティー・若者層で遅れ


米地上波テレビ放送の完全デジタル化は6月12日に延期されたが、期限まで2ヶ月に迫った現在も400万世帯弱のテレビ世帯でデジタル化対応が出来ていないことが明らかになった。ニールセン・メディア・リサーチ社がこのほど発表した調査結果によると、3月29日の時点でデジタル移行に全く対応していない世帯は、全体の3.4%に相当する380万軒に上るという。


ニールセンによれば、3月中にコンバーター(デジタル変換器)を購入・接続した直接受信世帯は61万軒と、デジタル放送受信の準備を進めている世帯は着実に増えている。しかし、黒人やヒスパニック(スペイン語を母国語とする住民)系市民などの間で準備が遅れていることが懸念されているようだ。準備が出来ていない世帯を人種別で見ると、黒人世帯が6.2%でトップ。ヒスパニック系5.6%やアジア系4.4%も白人世帯の2.7%を上回っている。


また、これまで「デジタル機器などの扱いが苦手」とされてきた高齢者世帯だが、55歳以上の世帯で準備不足だったのはわずか1.8%にとどまり、逆に35歳以下で締められる若者世帯の6.3%を大きく下回っていることが判明した。さらに地区別で見ると、ニューメキシコ州のアルバカーキー・サンタフェ地域の9.4%の世帯がデジタル化対応が遅れており、全米で準備状況が最悪の地域として挙げられている。

業界誌「ブロードキャスティング&ケーブル」は4月6日付の社説で、特定層のデジタル対応の遅れに触れ、「オバマ大統領はこれまで一度もデジタル化について言及したことがない」と指摘、「影響力のある大統領が発言しないのはいささか残念なことだ」と大統領の関与を呼びかけている。デジタル化期限は当初2月17日に設定されていたが、準備の整っていない世帯が多すぎるなどの理由で連邦議会が4ヶ月の延期をしている。