デンバー日刊紙廃刊で米メディア界に衝撃


「ロッキー」の愛称で親しまれてきた米コロラド州デンバーの日刊紙「ザ・ロッキー・マウンテン・ニューズ」が2月27日の朝刊を最後に廃刊となった。これでデンバーの市民に残された日刊紙は「ザ・デンバー・ポスト」一紙のみとなる。米国では新聞業界の不振が言われて久しいが、1859年創刊以来150年の歴史を誇る有力地方紙が廃刊に追い込まれたことで全国のテレビや新聞などが一斉に報じるなど衝撃が走っている。CNNテレビなどでは、当日朝、同紙の編集室で廃刊決定にショックを隠しきれない記者や職員の様子を速報で流したほか、夕方のネットワーク・ニュースの中には特集枠で伝えたところもあった。

「ロッキー」は米メディア中堅のスクリプス社が所有していたが、購読数の減少や広告収入の大幅落ち込みで、昨年は1600万㌦(約15億2000万円)の赤字を記録、売却先探しが難航していた。2001年にはライバル紙である「デンバー・ポスト」と業務提携を締結。印刷や配達業務のコストシェアなどを実施したが、こうした合理化努力も実を結ばなかった。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、昨秋スクリプス社が売却の意図を明らかにした際に、買収に名乗りを上げた企業などは皆無だった。

米新聞業界では、2月下旬、米有力地方紙の一つ、フィラデルフィア・インクワイアラー紙の親会社と日刊紙20紙を発行するジャーナル・レジスターが破産法を申請するなど、破綻や休刊が相次いでいる。また、カリフォルニア州の有力地方紙「サンフランシスコ・クロニクル」の経営危機が表面化しているほか、米新聞最大手ガネットは今月中にも、アリゾナ州で発行している「ツーソン・シチズン」紙の売却・廃刊を決断する見通しだ。